金融緩和の副作用以外でも苦しむ銀行。
長引く超低金利で、銀行は厳しい状況になっていますが、
特に地方銀行(以下、地銀)にはこういった金融緩和の副作用以外にも
問題があるようです。
まず、与信費用の増加。
与信費用とは、貸出先の倒産に対しての備え(貸倒引当金)や実際に倒産となってしまった場合の損失の計上になります。
日本経済新聞の集計によると、62行で実質与信費用が増加した、との結果が出ています。
筆頭はご存知スルガ銀行のシェアハウス関連融資の不正問題での損失ですが、この分を差し引いても500億円超の損失が出ています。
損失の原因のひとつは、2009年に期限付きで施行された中小企業金融円滑化法です。
この法律は、中小企業が借入金の返済に困った場合、一定期間の猶予を認めているものです。
中小企業やその取引先の倒産(連鎖倒産)を防ぎ、経営の健全化のチャンスも与えられる、と、借り手側や地方経済にとっては嬉しい法律でした。
しかし、結局は不良債権(倒産)の先送りとなるケースが多くなり、結果的には銀行の損失となってしまいます。
時代もあるんだと思います。
当時は再生の可能性があると判断されて助けてもらった企業も、
後継者がいなかったり、人手不足になったり、
自然災害(地震、台風等)で売上が大幅に減ったり、
・・・結局は倒産してしまう。
今後も不良債権処理は銀行にとって大きな悩みとなりそうです。
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企業の倒産やその働き手の都市部への流出は地価の下落を招き、
2019年10月予定の消費増税も地方経済には厳しいものとなって、
地銀経営には悪い影響を与えます。
そして、2019年4月に実施予定となった、ゆうちょ銀行の貯金上限額の引き上げです。
現在の1,300万円から2,600万円(通常貯金1,300万円+定期性貯金1,300万円)に引き上げ予定です。
もし、この大幅アップが実施された場合、退職金などの大きなお金がまるまるゆうちょ銀行に流れる可能性もあり、これも地銀にはダメージとなる恐れがあります。
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人口が減ってくると、銀行も余剰となってきます。
地銀にも大きな経営転換が求められる時代になってきました。
それでは、また。